六義園 |
「80年生きれば そりゃ もうあなた …」(斎藤 史の短歌から)の心境で、葵の会の仲間14人で今年も
出かけました。4月3日 開園直後の古河庭園は人もまばらで、バラはまだでしたが、近代第一の作庭師小川治兵
衛が精魂を傾けた日本庭園はさすがに素晴らしい景でした。駒込駅付近 染井吉野桜発祥の碑のある小公園を経て
入場の列に並び、六義園の内へ。正面、青空の中に数メートルのしだれ桜が満開を誇っていました。大泉水池を右
手に見て、メガホンの「「込み合っていますから立ち止まらないでください」の声に押されるように土橋を渡り、
和歌の解説文にポイントのところどころではチラッと目を走らせ、転ばないように足元に注意し、背伸びしては仲
間の特徴のある帽子を探しつつはぐれないように一周しました。
昼食後は、駒込富士神社、天祖神社の鷹匠の碑をめぐったあと、こちらも満開の桜が迎える吉祥寺へ。広い境内
の墓地で二宮尊徳、榎本武揚など先哲を偲び、土物店(つちものだな:江戸時代の青果市場)跡地で、初夢に縁起
が良いとされる「一冨士、二鷹、三茄子」を巡るコースを終えました。
元禄時代に柳澤吉保が策定した六義園は、今日なお文人墨客を魅了していますが、和歌景勝地88か所のうちま
だ32か所の石柱が残っているそうです。当日の万歩計は超2万歩だったとか。また、いつの日か、脚を鍛え、時
間の余裕をもって、ゆっくりと日本精神文化の風土を味わいたいものです。
古河庭園 |
「花があんなに美しいのは、きっと樹の下に屍体が埋まっているからに違いない」とは、「檸檬」の作家 梶井
基次郎の文ですが、最近考えているのは樹が吸い上げている血の主です。もともと白い花びらをあのようにピンク
色に染めた樹の下にあるのは、諸行無常の西行か、妖しい情念の清姫か、それとも無念自刃の浅野内匠頭か……。
この世のものとは思われない、桜の花の美しさの理由をどのようにお考えでしょうか。
帰宅の途中、春雷に驚かされましたが、好天と楽しい会話の仲間とに恵まれ春を満喫した一日でした。
幹事の水上さん、渡辺さん、参加の皆さん、ありがとうございました。
自作の 七言絶句です。
「花時出遊」 蒼風 西脇英夫
蹇歩回遊六義園 名勝擬古雅歌魂
垂桜萬朶揺風舞 佳景千金笑語温
(蹇歩:不自由な足で歩く)
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