会員21名は10月5日(木)、葵の会らしく「秋の文学散歩」と銘打って信濃路への日帰りバス旅行に行って
来ました。前日は雨、翌日も雨の谷間の程よく晴れた穏やかな初秋の一日でした。7時に所沢駅東口を出発して小
手指駅南口を経由し、入間ICから高速道で向かったのですが、関越道で事故による渋滞に巻き込まれ、最初の訪問
地、小諸市の文学の里『懐古園』(小諸城)には1時間ほど遅れて着きました。
島崎藤村はこの地で27才から6年間、小諸義塾の英語教師として過ごしています。25才で“まだあげ初めし
前髪の林檎のもとに見えしとき・・・”の「初恋」以下54編を収めた『若菜集』を出版し、この地では「千曲川
旅情の歌」や「椰子の実」を掲載した4冊目の詩集である『落梅集』を編集しています。私達も起伏に富んだ懐古
園をそぞろ見て遥か下を流れる千曲川を眺めました。「千曲川旅情の歌」の歌碑があり、この園内の風景や千曲川
の景色が如何に若き藤村の気持ちを揺さぶったか、分かるような気がしました。藤村のどの詩情にも合っていると
思えました。
ここでは大凡1時間しか取れず、もっと見たい感情を抑えて次の目的地、歴史の寄り道“信州の鎌倉”と宣伝さ
れる別所温泉に向かいました。
一同で昼食を摂った後、「別所三楽寺」と言われる「愛染かつら」のある「北向観音」、国宝八角三重塔で有名
な「安楽寺」、石造多宝塔の「常楽寺」を徒歩で見て廻りました。こんなに遠く離れた地に平安時代から鎌倉時代
にかけて創建され、今も見事にそのままの姿が残されているのを見ると何か不思議さを感じました。
最後は3万余の徳川軍をその10分の1の兵力で撃退したという上田城を散策しました。堀は徳川の時代に埋め
られ現状とは異なりますが、良く持ちこたえたなと感じました。また櫓門は残されていましたが、本丸が残ってい
ないのが残念に思えました。
16時過ぎに帰途に着いたのですが、文学と歴史を重点にした旅で、まだ紅葉の季節には早いのか、観光客も少
なく佐久平地方の風景をゆったりした気分で味わえたと思います。
また、車の中では西脇さんが歴史話や「頭の体操クイズ」と「替え歌」等を用意してくださり、和やかに唱和し
て、ほぼ予定時刻に帰着しました。
懐古園大手門前にて |
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