食を通して所沢を知る会         活動報告          ところざわ倶楽部


「フードバンクの現状についての報告」

2020 -05-02  
  黒田 和代


 任意グループの「フードバンクところざわ」は、「NPO法人フードバンクネット西埼玉」の拠点倉庫と事務局を担当しています。

 4月の中旬くらいから、フードバンクへの食料依頼が急増し、提供量は普段の2倍となっています。食料の依頼は、なぜか新座市が一番多く(新座市役所が積極的に利用してくださっている)、あとは入間、飯能、狭山、所沢、日高…など、西武線、東武線の私鉄沿線の地域が中心となっています。個人世帯からの申し込みも、1回限りで可能なので、県外からの問合せも頻繁にきています。

 相談窓口への提供のほか、宅配便で個人宅へ食料を提供しており、その際「食料提供依頼書」という書式で申し込みを受けています。依頼書には「食料支援が必要である理由」を一言書いてもらうようになっているのですが、以前は「病気やケガで働けなくなった」、「子供の進学でお金がかかった」、「社会福祉協議会の貸付金が出るまでのつなぎ」というようなものが多くありました。しかし、最近はほとんどコロナの影響です。コロナの影響で仕事がなくなった、解雇された、子どもがずっと家にいるので生活費が足りなくなった・・・・それらを見ていて、今、日本が本当に大変なことになっているとがよくわかります。

 上記のような事情の中、フードバンクへのニーズは急増していますが、幸い、食トコや市民大学ファームの皆様から、いろいろな方が食料の寄付を届けてくださり、また、ちょうどタイミングよく、企業からのまとまった量の寄贈もあって、今のところ何とか対応することができています。

 しかし、全国のフードバンクの状況としては、企業からの寄贈量は急激に減少傾向となっています。コロナの影響で食材の輸入量が減少していたり、大手小売店や店舗の営業自粛の影響で、加工食品の生産そのものも抑制されていると聞いています。今まで定期的に寄贈してくれていた食品メーカーの協力もそのうちなくなってしまうかもしれません。コロナの影響が各所に及ぶ中、ボランティアベースのフードバンクの活動がどこまで継続できるか心細い気持ちにもなりますが、その時その時でできる範囲のことをしていこうとスタッフ一同心を合わせています。

 宅配便で食料を送る際、メッセージを一言添えることにしていますが、受け取った人からお礼状やお電話をいただくこともたびたびあります。先日は、生活保護の申請をしたという高校生の子どもが二人いる40代のご夫婦から、涙ながらに「どうしてこんなことになったのだろうと心が沈んでいたが、フードバンクの食料とお手紙に、人の温かさを感じ、頑張って乗り越えようという気持ちになれた。現状を乗り越え生活が安定したら、夫婦で活動を手伝いに行きますから」とお電話をいただき、私も思わずもらい泣きしてしまいました。辛い時、苦しい時に、食べ物と誰かのちょっとした優しさが届くことが、どれほどの励ましやなぐさめになるかということを、改めて深く感じ、食料の寄贈をくださる皆様の優しさを、心細い状態の方に食料と共にお届けするという「フードバンク」活動の意義を再認識しました。

 コロナの外出自粛が続く中、子どもがいる世帯に向けて「緊急おやつ便」という取り組みをすることになりました。詳細はフェイスブックのページをご覧ください。また、6月以降、フードバンクの「マンスリーサポーター」を大々的に募集する予定もあります。500円の寄付を毎月継続的にしてくださる方の募集です。実施が近くなりましたら、またご案内させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 フェイスブックのページ 「NPO法人フードネット西埼玉 を参照下さい。

 最近の気候の不安定さもあり、コロナ収束後には食糧危機が来るのではないかという話もありますが、国は必ず国民の生活を守ってくれるはずと信じて、心配しすぎないようにしています。

 今後とも、ところざわ倶楽部の皆様のご協力をお願いいたします。