■実施日:2020年12月16日(火) 10:00~13:00
■会場: むい食堂 参加者:10名
食を通して所沢を知る会では、12月定例会を「むい食堂」にて開催しました。クリスマス、新年が近くなり、会員S氏より「ワイン 飲んで楽しんで」という題でミニ講演会を開催しました。S氏は出版社で一時レストラン向けの雑誌とワインガイドブック発行に携っていました。
「ワイン 飲んで楽しんで」内容
本日、ワインについて「ワイン 飲んで 楽しんで」というお話しをします。
ワインのことを少しだけでも知っていれば楽しいと思います。ただ、ワインの“通”ぶった話をどれだけ聞いていても本を読んでいても退屈するだけです。
また、ビンテージチャートで格付けされたワインとか、金賞受賞ワインとかだけが、ワインのよさ、素晴らしさ、を主張しているようにも思われます。そんな理屈なんていりません。
イギリスのワインジャーナリスト ジャンシス・ロビンソン女史著「ワインの飲み方、選び方」(新潮社)より
◎ワインに対する絶対的な評価なんて言うものはこの世にないのです。客観的にいって製造上の欠陥があるワインでも美味しい、と思う方もいて、最高の品質、好事家が目をさらにするようなワインでも誰をも満足させるとは限りません。
◎ワインを楽しむ上でたたひとつ大切なこと、それはあなたがワインを楽しむだけなのです。
◎飲みもの、食べものの相性には妙な理屈をこねて、あんまり茶々を入れない方がいいのです。はっきり言ってワインと食べものの組み合わせはなんでもありなんです。
この3つのセオリーを大切にしています。
ところでワインとはなんぞや。一言で言えば「ワインは味が命です」
ワインの味に決定的な影響を及ぼすのが「ブドウ品種」です。ブドウ品種についてどうもワインを飲まれている私の周りの方々は無頓着の感があります。
味の決めては日本酒で技術が8割、ワインはブドウ品種で8割と言われています。日本酒では、吟醸酒、純米酒、純米大吟醸とうるさい人でも、ワインになるとそのワインがどのようなブドウから造られているか、ほとんど関心を示しません。
ワインと言えばフランス。フランスでは、ワインを産地で呼ぶ傾向が強く、「ボルドー」「ブルゴーニュ」「ロワール」などがその代表になります。ボルドー産のワインは「ブレンド」が特徴です。しかし、ボルドー以外のフランス、また世界的には一般名称等では呼ばず、ブドウ品種で分別することが主流になっています。
ということで、「ワイン 飲んで楽しんで」は赤ワイン用の主要ブドウ品種で造られたワインをティスティングしてそれらの特徴を掴んで「自分の好みの味」を見つけてください。きっとワインの別の世界が開けます。
【ティスティング方法】
1,まずはながめてみよう
ワインの色、輝き、濁り、粘性
2,香りをかぐ
① グラスをまわさない状態でかぐ
② グラスを回してもう一度かぐ
③ しばらししてからかぐ
3,味わう
(少しの間口全体になじませて)
甘味、酸味、渋み、苦み、まろやかさ、アルコール感、余韻
本日用意した赤ワイン用ブドウ品種は6種類です。2000円から3000円以内のコストパフォーマンスがいいと思われるワインを選んでいます。
【ガメイ】
フランスボージョレ地方で栽培されている赤ワイン用ブドウ品種。ボージョレ・ヌーヴォーはこのブドウから造られる。一言で言えば「フレッシュ&フルーティ」。フレッシュはさっぱりした酸味、フルーティの方はガメイの特徴。ライトウェィトで熟成させるように出来ていない。「マセラシオン・カルボニック」という特殊な製法で造る。
【カベルネ・ソーヴィニヨン】
フランスボルドー地方の代表的赤ワイン用ブドウ品種。深みのある色合いとしっかりしたタンニンが特徴。重厚で飲み応えのあるワインになる。カベルネ・ソーヴィニヨンこそ「真にワインを愛する人が崇拝してやまないブドウ」。世界中でその本来の特徴を崩すことなく、幅広い気候、土壌に適応し、最高品質のワインを生む、まさにワインになるために生まれてきたようなブドウ品種。
【メルロー】
フランスボルドー地方の赤ワイン用ブドウ品種。深みのある色合いときめ細やかなタンニンがあり、口当たりの良いワインになる。メルローも世界中で栽培されている。
(注)ボルドー産のワインは「ブレンドの妙」。有名なシャトー・マルゴーは、カベルネ・ソーヴィニヨン86%、メルロー9%、カベルネ・フラン4%、プチヴェルド1%をブレンド。それぞれのシャトーで製造されるワインのブレンド割合は、企業秘密?
【ピノ・ノワール】
ボルドー産の偉大な赤の多くがカベルネ・ソーヴィニヨンから生まれるとすると偉大なブルゴーニュ産の赤はすべてピノ・ノワールから生まれる。ピノ・ノワールは透明感のあるルビー色でタンニンが比較的少なく、若い時はラズベリーの香りがする。ただ、ピノ・ノワールはひどく手のかかる気難しいブドウ。日本で東北、北海道でピノ・ノワールの栽培に挑戦しているワイナリーがあるがまだ力を発揮していない。
【マスカット・べーリーA】
1927年川上善兵衛により交配された日本固有の生食、醸造兼用品種。キャンディのようなあまい香りが特徴。口当りが優しく、なめらかで果実味のある赤ワインになる。
【シラー】
濃い紫を帯びたガーネット色。フルーティさとタンニンのバランスが良く、力強い赤ワインになる。オーストラリアではシラーズとして有名。
ほか、地域を代表する赤ワイン用ブドウ品種は
ネッビオーロ: イタリアピエモンテ州を中心に栽培。バローロが代表的なワイン
サンジョヴェジェ:イタリアの代表的な赤ワイン用ブドウ。トスカーナ州をはじめ、広い地 域で栽培されて いる。キャンティの主要品種として知られている
テンプラニーリョ:スペインの代表的な赤ワイン用ブドウ品種。香り高く繊細な味わいを持つ
タナ: ウルグアイを象徴する赤ワイン用黒ブドウ品種。
ブラッククイーン:川上善兵衛が品種改良で造った
などがあります。
最後に日本産のワインについて説明します。
フランスと気候、風土も食文化も違うのにフランスのまねをしても意味がないと言うことで、日本独自、土地独自の個性を追求する方向に変わってきています。
この流れから日本のワインの表示方法を(2018年10月施行)国税庁がルール策定。「日本ワイン」とは100%国産ブドウを使用して国内製造されたワインをラベルに表示でき、産地に関してその地域で栽培されたブドウ85%以上を使用した場合のみ産地名を表示できる。「国産ワイン」とは海外から輸入したブドウや濃縮果汁を使用して製造されたワインを「国産ワイン」と呼んでいる。これらをラベルに表示する義務があります。「国産ワイン」という表示に注意しましょう。
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