■実施日:2017-2-2(木) ■参加者:24名 ■場所:中央公民館 3号室
■講師:原 正次
昨今、大きな又は有名な神社、寺院にはところ狭しと「絵馬」が飾られています。今の時期では「大学合格」の
願掛けの季節です。その他「家内安全」「健康になりますように」「良い縁談に恵まれますように」等様々な願掛
けが見受けられます。
ところで、この「絵馬」とはなんでしょうか。私達「野老澤の歴史をたのしむ会」では今年、3回目の座学で、「絵馬とその歴
史」について学びました。講師は私達サークル会員の原さん。原さんは12年前「いきがい大学」東松山の学園で2年間学び、卒業
テーマが「絵馬」とのことで「絵馬」に対する知識は豊富です。
原講師 山口観音絵馬の説明 |
「絵馬」とは神社、寺院等に祈願または感謝のため馬等の絵を描いて奉納した絵のことで、「絵馬」は形状の違
いから、吊懸形式の「小絵馬」と篇額形式の「大絵馬」とに分けられます。「小絵馬」は街の名もない絵師あるい
は奉納者自身が描き素朴で民芸的で大きさも30cm以下のものです。これに対して「大絵馬」は専門の絵師が描
き、大きさは30cm超過のものと言われています。
古来、馬は神様の乗り物でした。奈良時代には、生きた馬「神馬」(しんめ)を神社に奉納していました。やが
てそれが、馬を描いて奉納する「絵馬」へと変化していきました。「絵馬」は中世の絵巻物などにも描かれていま
すが、それらのほとんどは「小絵馬」です。ところが、室町時代中期に、新しい形式の「絵馬」が登場しました。
それが篇額形式の「大絵馬」です。図形も馬という制約から離れて多彩な画題が描かれるようになりました。江戸
時代になると、画題は武者絵や参詣図、歌舞伎の名場面にまでおよび、絵画的に優れたものも残されています。
今日「大絵馬」は埼玉県内の各地域にある神社、寺院に多く存在していますが、所沢では金乗院山口観音の観齋
筆「煙草屋図大絵馬」が所沢市指定文化財としてあるそうです。
江戸時代になると、家内安全や商売繁盛といった現実的な願いをかける風習が庶民にも広がり、今日のように個
人が小さな「絵馬」を奉納する形は、江戸時代に始まったものと言われています。
2月は合格の願掛けにたけなわの季節ですが、「絵馬」に記された願いごとや氏名が他人に見えないように「対
策」を取る寺院が広がっているようです。ネット時代に改めて個人情報保護の意識が高まった形の一つの現れでし
ょうか。
今まで、神社等で何気なく見ていた「絵馬」にも色々な歴史があるものだと知ることができて大変有意義な話で
した。
私自身、毎年、家族と新年には高麗神社にお参りに行き、帰りは「交通安全」のお札を購入していますが、来年
は私のささやかな夢を「絵馬」に託そうかなと思っています。
山口観音の絵馬 秩父神社の絵馬 |
(担当:原 正次)
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