ところざわ倶楽部            活動報告    野老澤の歴史をたのしむ会


「所澤の町場と飛行場」講座


2017-6-5    記 池田 衞

 
  ■実施日時:2017-6-1 13:00~16:00   ■場所:中央公民館 学習室1・2号室

 ■参加者:16名   

 ■講 師:三上 博史氏


   語り部 所澤の歴史の伝承人“ひげじい”こと三上さんは、旧町に生まれて五代目、ライフワークとして取り組んだふるさ

と所澤の知識を買われて、所沢市中心市街地活性化拠点施設野老澤町造商店のボランティアスタッフをされています。

 ■講座内容:

    明治44年4月に日本初の飛行場が所澤町に開設され、アンリ・ファルマン機による初飛行が成功し、大正8年に日本初の航

  空学校である「所澤陸軍航空学校」が創設されました。
 
    昭和に入り、東京陸軍少年飛行学校や陸軍航空技術学校、陸軍航空整備学校などが所沢に設立され、多くの少年飛行士を送り

  出しました。全国から飛行技術を学ぶ多くの若者や軍人が町に住み、町の活況を呼びました。昭和20年の終戦まで航空発祥の

  地、空都所澤として発展してきた町場と所澤飛行場との関わりを紹介されました。



 
   
   


 ■講座資料:

   本年4月15日(土)野老澤町造商店20174月企画展「絵葉書から見る所沢飛行場の歴史」企画展で三上さんによるお話

会「所澤の町場と飛行場」の資料『空都:所澤の町場と所沢飛行場の歴史』を用意しました。


 ■講座の感想:

   三上さんが作成した講座資料のあとがきに『所沢の町の発展の歴史の中で「所沢飛行場」が重要な部分を占めたこと、戦前の

日本の航空の教育・研究の礎となり航空界発展に貢献したことを多くの市民のかたに知っていただけたら幸いです』と書かれて

おります。

   三上さんは、「所沢飛行場」をライフワークの最重要課題として取り組んでおります。毎年4月に野老澤町造商店で所沢飛行

場に関わる企画を試みており、その心情が伺えます。

今回受講者の年代的見て、講座の後半に話された「戦時中の町場と飛行場」「敗戦・基地の町へ」に関心を持たれた方が多か

ったと思います。

いくつかの事例を挙げます。戦時中は陸軍航空部の材料廠施設であった通称「南倉庫」が、戦後西武鉄道車両工場となり、そ

の跡地は所沢駅西地区再開発事業の中核的存在になっています。

   所沢飛行場の飛行機見物、陸軍飛行学校で働く人たちのために武蔵野鉄道(現・西武池袋線)は松井駅(所沢飛行場駅に改名

)、西武鉄道(現・西武新宿線)は所沢飛行場前駅を、それぞれ昭和14年に開設しました。東所沢駅と駅名を変えた所沢飛行

場駅は昭和20年廃駅、御幸町駅と駅名を変えた所沢飛行場前駅は昭和27年米軍基地から軍需物資を輸送するため、北所沢駅

(現在の新所沢駅)を新設する引き換えに廃駅となりました。

   戦時中、軍人の衛生保全のため、風俗取り締まりの便宜上遊郭が浦町有楽町に設置されましたが、現在でもその面影が残され

ています。

   浦町の西洋料理屋「美好軒」はフォール大佐一行が飛行技術伝道のため来日した時「陸軍御用達」の店として賄いを任され、

軍の将校や皇室、家族、要人等が利用しました。

戦後、所沢に居を構えた者として、「所沢飛行場」の恩恵を受けた町の姿を見て、『空都』所沢の面影を追い求めた講座でし

た。

担 当:池田 衞  粕谷 眞