ところざわ倶楽部            活動報告    野老澤の歴史をたのしむ会

 玉川上水を歩く」 第4回


2016-10-13    記 池田 衞
  


 ■実施日 2016 10-06(木) ■参加者:8名 ■場所:暗渠口(浅間橋跡)~四谷大木戸


 
 今回の歩きで全長約43㌔の玉川上水のゴール四谷大木戸を目指します。

 ここで玉川上水の現況を確認します。玉川上水は次の3区間に分けられます。

 1.上流部:原水導水路区間(約12㌔)

    羽村取水堰から小平監視所までの区間は、現在も水道原水の導水路として使用されています。

 2.中流部:清流復活区間(約18㌔)

    小平監視所から浅間橋までの区間は、東京都の清流復活事業によって下水の高度処理水が流れている。この区間では、「史

   跡玉川上水整備活用計画」に基づく各種施策を関係機関と協議して進めています。

 3.下流部:排水路区間(約13㌔)

    浅間橋から四谷大木戸までの区間は、多くが暗渠となっており、堀の上は高速道路や公園、遊歩などに利用されていま

   す。


 今回の歩きは、下流部そのものを歩きます。どのように変化のあるルートでしょうか?



 京王井の頭線富士見ヶ丘駅を降り立つと、目の前に神田川が流れています。この川は、玉川上水開削以前、井の頭池や善福寺池・

妙正寺池等の湧水を集めて江戸の水源とした神田上水です。

 緩やかな坂道を上ると、高速道路の下を走る甲州街道です。前回歩いた浅間橋跡から歩き始めます。


 開口して流れていた上水は、ここで暗渠となり神田川に放水されます。

 私たちは、まず玉川上水跡を踏みしめて甲州街道の歩道を歩きました。2㌔ほど歩いたところに甲州街道から左に分岐する緑道が

あります。これが昭和41年までここにあった玉川上水跡です。地下には水道用導水管が入っているそうです。


 跡地は玉川上水第2公園になっています。ここに「玉川上水変遷」の碑があります。桜上水駅から延びる都道428号線を挟んで

玉川上水第3公園へと続きます。公園に隣接する甲州街道の騒音も公園の木々に囲まれた緑道を歩けば気になりません。およそ2

㌔の歩きで公園は行き止まりです。


    

玉川上水変遷碑                 玉川上水第2公園 



 築地本願寺和田堀廟所から甲州街道の歩道歩きです。隣接する明治大学和泉校舎前にある明大橋から玉川上水跡地の玉川上水公園

を歩きます。公園の下を井の頭線が横断しており、地上部に水道鉄管が敷設されています。玉川上水公園は和泉給水所で行き止ま

りです。

 歩道を600mほど歩き、代田橋駅前で甲州街道の横断歩道橋を渡り杉並区から世田谷区に入ります。ここで南に向きを変えた水

路が現れます。レンガの水路壁面が感激を誘います。残念ながら流れがなく、水はよどんでいます。


 水路は代田橋駅の下をくぐり、ゆずり橋で玉川上水は暗渠になります。ここから上部は玉川上水緑道になっています。緑道は環七

通の下を地下道で横断します。地下道も玉川上水の流路跡を利用しているようです。稲荷橋で渋谷区に入ると、緑道から水路にな

ります。


 笹塚駅前のヒーローズというステーキ・ハンバーグ店で昼食を摂りました。

 駅前から蛇行して流れる玉川上水は、笹塚橋で暗渠になります。ここから再び世田谷区です。行政区によって玉川上水の扱いが水

路と暗渠に分かれます。笹塚駅周辺の渋谷区内約700mの区間が昔のままの玉川上水の姿で残りました。都心で見るこの景観は貴

重なものだと思います。


 明大前あたりから玉川上水は大きく蛇行しています。直線にできなかった理由として、羽村から四谷大木戸まで、約43㌔の区間

を約92mの高低差(100mでわずか21㎝の高低差)を利用して流すためには尾根筋を選んで開削する必要があったためです。本

日のスタート地点の浅間橋が神田川の坂上にあったことでも理解できます。


    

代田橋付近の開渠                渋谷区内の玉川上水 

          

 甲州街道から700m離れていた玉川上水は再び甲州街道に沿うようになります。地図で確認すると初台あたりから京王線の線路

と重なります。現在の京王線は玉川上水跡地の地下を走っています。


 西参道交差点を渡ると視界が開け、都心の真っただ中に到達した感じです。広場の西側には巨大な屏風を思わせる文化女子大学が

屹立しています。

 広場には、ここに玉川上水が流れていたことを現代に伝えるモニュメントがあります。このモニュメントは、明治時代に新宿駅

構内の地下に設けられた玉川上水の煉瓦造りの暗渠をモチーフとし、当時の煉瓦の一部を使用して、ほぼ原寸大で再現されました



 いよいよ、新宿駅南口です。ここの地下をモニュメントの暗渠で上水を流したわけです。


 新宿御苑のインフォ-メーションセンター横の散策路が玉川上水跡地です。ここには、玉川上水のせせらぎが復活されています

。木立に囲まれた散策路となっていて、疲れた体がしゃんとなります。

 四谷区民センターの裏側の空地が玉川上水の跡地です。そこを通り抜けると四谷大木戸に建立された水道碑記(すいどういしぶ

みのき)があります。東京都指定有形文化財(古文書)となっている水道碑記は、玉川上水開削の由来を記した記念碑です。

 15:20幹事が予測した時間通りのゴールでした。


 新宿三丁目駅で自由解散しました。


 
    

玉川上水モニュメント              四谷大木戸の水道碑記