ところざわ倶楽部            活動報告    野老澤の歴史をたのしむ会

  特別講座「狭山丘陵の成り立ちと地質」
について学ぶ


2016-11-20    記 池田 衞
  


■実施日:2016-11-12(土)    ■参加者:20名(他サークル9名含む)

■講 師:所沢高校 正田 浩司 先生



 今回の行事は、私たちが慣れ親しんでいる地元狭山丘陵の「成り立ちと地質の分析」を所沢高校の正田先生にお願いし体験する

講座です。サークルの年間行事に組み込まれていないので特別講座となりました。また、本講座に関心のあるところざわ倶楽部の

「葵の会」「地域の自然を考える会」のほかに、地質学の専門家、所沢高校の地学の女子生徒が参加する多彩なメンバーとなりま

した。

 下山口駅改札口に940分集合。参加者全員に名札着用。正田先生が本会のため用意したテキスト「武蔵野台地に浮かぶ『緑の

島』狭山丘陵の成り立ちと地質」が配布されました。


 武蔵野台地に浮かぶ「緑の島」とは、なんのことだろう?と興味津々で、いざ出発!


   

 「狭山丘陵の成り立ちと地質」テキスト     露頭を紙に転写した断面図の説明    



 下山口駅から狭山丘陵に向かいます。途中、狭山丘陵の土台となる芋窪礫層の小さな露頭を観察しました。正田先生の説明を聞

いて、テキストの地形・地質断面図に芋窪礫層の位置を記入します。


 次いで、正田farmでは、狭山丘陵の裾で多摩ローム層を観察します。地層の断面図を見ますと、多摩ローム層は芋窪礫層の上

の層になっています。地層の観察とテキストによって、狭山丘陵の成り立ちが少しずつ分かってきます。



 いきものふれあいの里センターに立ち寄り、狭山丘陵の動植物の展示物を見学しました。

 いきものふれあいの里センターを出てすぐのところに1万人の手造り富士・荒幡富士があります。標高120m近くあり、頂上か

360度の眺望です。多人数のため登頂は中止しました。

 荒幡小学校脇の道を歩きドレミの丘公園で小休止。快晴に恵まれ、奥多摩から秩父連山がパノラマのように展望できます。ふる

さと所沢をしみじみ見下ろすことが出来ました。


 モダンな荒幡まちづくりセンターの建物を右に見て歩く。その先で再度、芋窪礫層の露頭に出会います。狭山丘陵を水源とする柳

瀬川に架かる山王橋を渡ります。


   

     ドレミの丘公園            所沢高校がけ下・所沢礫層観察



 永源寺の裏手の丘の上に所沢高校があります。そのがけ下で最後の観察を行いました。道路際の露頭は、12万年前の所沢礫層

、道路から約6m上の所に5万8千年前の東京軽石層があります。崖をよじ登って東京軽石層を観察した人はわずか数人。東京軽

石層を撮影した写真を見せて頂いた。

 所沢高校の地学教室で、各人持参の弁当を食べました。


 地学教室での午後の作業は、関東ローム層に含まれる鉱物粒子の顕微鏡観察です。

 手順は、①わんがけ法、②乾燥とふるい分け、③双眼実体顕微鏡で観察、④観察結果と考察です。

    わんがけ法:

      蒸発皿に試料を薬さじ1杯程度とる ⇒水を少量加え、親指の腹でよく練りつぶす ⇒水を8分目まで入れ、濁り水を作

     る ⇒23秒程してから濁り水をすてる ⇒これを繰り返し、濁りが出なくなったら、蒸発皿の底に鉱物が残る。

    乾燥とふるい分け:

      ホットプレートで乾燥させる ⇒0.25mmと0.125mmの目のふるいに試料を通し、  0.125mmのふるいの上に残

     った資料を平底シャーレに取る。


    双眼実体顕微鏡で観察:

      平底シャーレを顕微鏡のステージ板の上に置き観察する。

   観察結果と考察:

      鉱物検索写真と照らし合わせながら、その鉱物の名前を調べる

      どのような鉱物が多く含まれるか観察し、その組み合わせからその火山灰(軽石)の元となったマグマの性質を

     考察する。



 何しろ、初めての作業なので、戸惑いながらも興味を持って、わんがけ⇒乾燥とふるい分け⇒顕微鏡観察を行いました。

 3種類の試料(関東ローム層)の観察結果は、正田先生の解説で①含まれる鉱物、②マグマの性質、③供給源、④年代がわかり、

堆積の状況も推測できました。



 アッという間を過ごし、午後3時過ぎ、初体験に満足し地質教室での作業を終了しました。

   

     双眼実体顕微鏡で鉱物粒子観察        正田先生による鉱物組成の説明    



 自宅に帰って早速テキストのタイトル、武蔵野台地に浮かぶ「緑の島」を解明してみました。

 青梅から多摩川が流れ、暴れ川となって数万年かけて台地を削り取っていたが、狭山丘陵を削り残したという。武蔵野台地を海

に例えれば、狭山丘陵は島です。それもただの島でなく、緑あふれる宝の島です。狭山丘陵は、所沢市民にとって貴重な存在とな

っています。


                                  担当:大山 豊・佐藤 八郎