ところざわ倶楽部            活動報告     野老澤の歴史をたのしむ会


足でさがす歴史 ~石造物からわかること~


2016 3 -6    記 池田 衞

■実施日:2016-3-3   ■参加者:22名  ■場所:中央公民館1・2号室

■講 師:所沢市生涯学習推進センター ふるさと研究グループ 倉持 美樹 様

1.所沢市石造物調査:

調査は平成10年度より六ヵ年かけて行われました。所沢の市域約72haの調査で2,522点の石造物を調査し、五冊の調

査報告書にまとめられました。

15,000枚近い記録写真が掲載されています。

調査は、まさしくタイトルに示す「足でさがす歴史」です。様々な苦労を重ねた膨大な調査報告から~わかること~が今

回講座のテーマとなっています。
 


2.講義内容:

  所沢市生涯学習推進センター ふるさと研究グループの倉持美樹講師によって、前半「石造物からわかること」をパワー

ポイントで94点の写真を使って講義をされた。

休憩のあと、西新井熊野神社の「バーチャル調査」の手法を伝授頂きました。

 

   

                      倉持美樹講師

 

3.石造物から分かること:

1)   石造物との付き合い方:

・造形として楽しむ:地蔵菩薩・如意輪観音・庚申塔等の様々な造形を楽しむ。

・記録として楽しむ:碑・奉納石・玉垣に記録さている内容を楽しむ。 

2)   これまでの調査:上掲 

3)   調査の方法:

  ・気に留める:問題意識をもって調査しないと、見過ごしてしまう。

  ・記録する:所在・銘文・寸法・来歴等を記録することで、移動・判読不可・盗難等に対処。

  ・比較する:ほかの石造物と時期・目的・施主等を比較する。

  ・背景を調べる:石造物設置の事情。

  ・注 意 点:立ち入り確認・元に戻す・傷つけない・拓本の是非等に注意する。 

4)   何がわかるか:

信   仰:地蔵菩薩・観音菩薩・馬頭観音・庚申塔等の種類によって信仰がわかる。

景   観:道標銘・橋供養塔・近年の区画整理の石造物かで景観との関わりがわかる。

寄 付 者:玉垣・近代の碑・昔の寄進碑の記録で寄付・寄進者がわかる。

人の動向 :石造物が旗本・商人・江戸の人名化によって人の動向がわかる。

5)   石造物を作った人々:

・石  工:

・施  主:

揮毫者 


4.バーチャル調査:

平成24年現地調査を実施した西新井熊野神社の調査手法を伝授頂きました。

伝授されたことを早速実体験ということで、熊野神社に行き石造物の調査を行いました。




   

平成24年調査時撮影                   平成28年3月5日撮影

  現地で驚かされたのは、バーチャル調査時と現状が一変していました。鳥居が平成2710月に建て替えられ、それ

に合わせて玉垣が新設されていました。鳥居の形状が変更されています。風格のある門前となっています。玉垣の総数が

252
基、大型の玉垣記名者で目立つのが二上家と三上家でした。 境内の石造物からいくつかのことがわかりました。社

殿建造五周年記念の献灯(昭和46年正月元日)から、新社殿が昭和414月に建造されたことがわかります。狛犬の建造

が天保九年(1838)となっています。3年後には老中水野忠邦が天保の改革を開始しています。

 また、参道の敷石記念碑から、参道の敷石が設置されたのが昭和24月と分かりました。90年の歴史ある敷石を踏ん

で熊野神社に拝礼してきました。

 20基の石造物を確認し、帰路所沢図書館本館で「所沢市石造物調査報告書3」記載の熊野神社20数基の石造物と照合

してみました。