ところざわ倶楽部          投稿作品       エッセイ&オピニオン

   ≪一寸庵閑話≫  ニュージーランドへの旅

           
満天の星と南十字星に感動しました
                                                      
                                          2017 5-20  
記 ケン・シェイクスビア


▼2月の私の誕生日に、うちの秘書兼ケアマネ兼海外旅行担当添乗員が「5月にニュージーランドに星空を見に行

かない?」と誘います。以前ニュージーランドの星空の番組をBS放送で見ていて「いいねえ!」と私が言ったの

を覚えていたようです。


私は「添乗員が選んだベストプラン」というパンフを見て「よし行こう!」と即決しました。添乗員は、初めて星

空の世界遺産登録をめざす「テカポ」に、連続2日泊まるというプランをベストだというのです。これなら1日雨

になっても多分星空は見られると・・・。

 南半球は初めてです。大学受験の際、理科は好きな地学を選択して受験した私は、天文学に興味をもつ「ロマン

チストのシテイボーイ」です。今回のツアーを「とにかくテカポで美しい星空を見ること」にしぼりました。



5月某日 ツアーに参加して成田を午後6時半に飛び立ちます。海外旅行の楽しみの1つに「クラシックを聴く

こと」があります。べ―トーベンの交響曲5番、7番にブラームスのピアノ協奏曲、ベルリオーズのレクイエム等

々、ワインを飲みながら至福の時間が流れました。成田からオークランドまで10時間半、朝焼けがきれいな水平

線を機上で見ることができました。



▼ニュージーランドという国

 ニュージーランドでは太陽は北側をまわって西に沈みます。部屋は北側があたたかい良い部屋になります。日

本の7割ほどの国土、南島と北島から成る人口470万人の自然の豊かな国。最大の都市は北島のオークランド(

ヨットハーバー、帆の町)140万人。首都ウエリントン19万人。南島のウエストチャーチは40万人。一人当た

り国民所得は2015年で世界28位(日本は32位)社会保障が充実した福祉国家。消費税は15%(内税)。

国旗がオーストラリアと似ていて、まちがって掲揚されたりしたので、国旗を変える提案がなされましたが、

2016
3月の国民投票で現状維持になりました。
イギリス連邦の一員であることともに、4つの星(南十字星)

が表現されています。羊毛、肉、乳製品が主な輸出品で、TPPを主張します。


   
ニュージランドの国旗        オーストラリアの国旗


▼オークランドに実業家・大橋巨泉の店「OKギフトショップ」があります。数人の若い店員がいます。聞くと

「ワーキング・ホリデイ」で来たとのこと。日本とニュージーランド間で1985年に結ばれた「ワーキング・ホリ

デイ制度」は、「30歳以下の男女は1年間語学など専門学校で勉強する義務がある反面、バイトなどして総合的

に海外生活を経験できる」というもの。そのまま居つく者も多いとか。



5月某日 オークランドから国内線で南島のクライストチャーチへ、1時間20分の旅。南島は3分の2が山地

というのが機内からわかります。3000メートル級のサザン・アルプスがあります。クライストチャーチはガーデ

ンシティといわれるように、オークランドとちがって、たいへんきれいな街です。広大なモナヴェイル庭園は英国

ヴィクトリア風の邸宅と庭園で、黄葉の美しい晩秋の風景でした。


2011年2月のクライストチャーチ地震で大聖堂などが倒壊、代わりに坂茂氏設計の特殊な紙パイプを使用したカ

ードボード・カテドラル(紙の大聖堂)が建てられました。


   

紙の大聖堂                       テカポの星空


5月某日 最大のイベント マウント・ジョン天文台星空ツアーです。オプションなので一人148ニュージー

ランド・ドルを払います。参加者19名は防寒着を着て待機します。スタッフから「午後645分のグループは

雲で山頂見学はダメでしたが、電話では雲が少し切れてきたとのことですので、845分グループは予定通り出

発します」との説明に、参加者に緊張感が走ります。私は添乗員と一緒に神に祈りました。ホテルからバスで15
ほど走り、300メートル高い天文台(海抜1000メートル)に着きました。

 空を見上げて「オー!神は救いたもうた!」みんな感嘆の声を発します。スタッフがレーザー光線を使って星空

を説明します。「これが南十字星か!」感動!感動!です。「あったかいココアをどうぞ」と女性スタッフからコ

コアを受け取ります。星空見ながらのココア!美味しかった!! 

 その後、天文台の中に入って、「木星、土星」などを一人一人望遠鏡で見ることができました。木星の縞模様と

衛星、土星の輪などを手に取るように見て感動しました。外にまた出て、屋外に置かれた望遠鏡で満月に近い月を

見ました。クレーターが見えて驚きです。山頂は時間とともに雲がなくなって、さらに見事な星空を見ることがで

きました。参加者全員の記念写真を投光器をつけ高級カメラで撮ってもらいました。午後11時すぎホテルにもど

って、参加者は「来たかいがあった!」と満足感を胸に眠りにつきました。



   

善き羊飼いの教会をおおう星空            南十字星です。十字の形が・・・




全員の記念写真



5月某日 テカポ湖畔を散策。「善き羊飼いの教会」を見学。1935年にこの地区を開拓した家族のために建て

られた小さな教会です。バスで世界遺産マウントクック国立公園へ。美味しいローストビーフ、キウイ、アイスク

リーム、スタインラガービール、シャルドネ白ワインに満足。国立公園内を3時間自由に散策しました。

マウントクックの三角の山頂やサザンアルプスの緑がかった氷河などすばらしい眺め。


   

デカポ湖から遠くサザンアルプスの山々 きれいでした! 


 散策する若い中国人と多く出会いました。デカポにもどり、夕食は、湖畔亭でキング・サーモン丼、みそ汁に漬

物。親しくなったみんなでワイワイガヤガヤ、飲みながら歓談しました。ここのサーモン丼は、絶対おすすめしま

す。オークランドの鉄板焼きも美味しかったですが・・・。日本人スタッフはやはり「ワーキング・ホリデイ」の

連中だとか。

 デカポからクライストチャーチへのバスから牛、羊、馬の群れを見ました。改めて酪農の国ニュージーランドを

思いました。


 何万キロも旅をしてきた星の光を見ていると、銀河系宇宙の壮大さを思うとともに、「この世の些細なことは気

にしない」と改めて考えさせられてしまいます   (完)

   

クック山 ニュージランド最高峰3,724m              天文台からもどった私たち