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ウサギのトリビア
                                                      
                                                         2017 9 -2  
記 玉上佳彦


 我が家には2羽のウサギが居間に居座っている。といっても完全な放し飼いではなく、2個のケージにそれぞれ入ってい

て、交互にケージから出るというルールとなっている。
たまたま、私の娘が美原小学校在学中に、校内のウサギ小屋に子ウ

サギが増えすぎて困っていて、飼ってくれる人を探していた。そこで、娘が最も可愛いといって真っ白なウサギをもらって

きたのがきっかけだった。それ以来、家族の皆が可愛いウサギに魅せられてしまった。1994年のことだったので、現在ま

で数えて24年間も我が家にウサギがいることになる。この間、私は単身で四日市や中国に赴任していたので、すべてを把

握しているわけではないが、私達がウサギにイメージしていることが、これまでの常識とかなり異なっているのではないか

と思い、ここで皆さんに紹介する次第である。


1.ウサギの数え方は羽数

  これはよく知られていることだが、江戸時代には、鶏などの鳥類は食べることは可とされていたが、その他の動物は食
  
  すべからずという不文律ともいえるルールがあったという。そこでウサギを食べる地域では、ウサギは獣ではなく、鳥

  類であると偽装して、鳥類と同じ羽数という数詞を使っていたという。


2.「ウサギと亀」の話は本当?

  イソップのウサギと亀の童話は有名である。この話では、ウサギは足が速いので、油断して、途中で昼寝してしまった

  ため、ゆっくり真面目にゴールを目指した亀に
負けてしまったという話であるが、果たして本当だろうか?

   ウサギは天敵に襲われた時に、瞬発力を活かして逃げることは得意だが、実は持続力がない。我が家のウサギを航空公

  園に連れて行って放すと、当初は活発に走り始めるが、しばらくすると、疲れてしまい、動きを止めて休んでしまう。

  これまでの5羽の我が家のウサギで同様に確認できている。私の独断だが、結論として、ウサギには瞬発力はあるが、

  持久力はないと考えられる。イソップの物語は、あたかもウサギには余裕があって、怠けていると考えられがちだが、

  実はウサギの特性を理解した物語ではないかと思う。

   ウサギは持久力のない、弱い動物であり、天敵に狙われやすいので、自然と多産系になるようで、一般的に1回に6

  8
羽の子どもを生むらしい。メスのウサギのオッパイは4対(8個)ある。


3.ウサギは人間の男は嫌い?

   我が家のウサギにとっては、家庭内の序列があるようだ。

  序列のトップはウサギの糞処理などの面倒をほとんど見ることのない娘、2番目は毎日ケージ清掃や餌やりなどをして

  いる妻、最低ランクは私である。我が家の主は、私なのだと言い聞かせてきたけど、全く無視されて、常に最低ランク

  であった。私は、単身赴任していた頃は、ウサギにとっては、全く知らないおじさんが後から侵入してきたという目で

  見ていたのであろう。もしかしたら、ウサギは男嫌い(?)なのかもしれない。



4.ウサギの性格はまちまち

   現在我が家にいる2羽のウサギは、4代目と5代目になる。同じウサギでもこれまで飼ってきた5羽のウサギの性格は

  全く異なっている。これは、他のペット(犬、猫など)にも共通することだろう。激しい性格のウサギ、おっとりタイ

  プ、なんでも齧りまくるやんちゃ坊主タイプ、甘えん坊タイプなどいて面白い。残念ながら、私は、どのウサギにも慕

  われていない。私は、ウサギに慕われなくてもいい、人間だから人間に慕われる人になりたいと・・・やせ我慢をして

  いる。


   ちなみに我が家のウサギの名前は、初代から「ピョンタン、ネギ、ピーマン、ナス、ヒジキ」だが、娘の気まぐれで付

  けたものなので、性格とは関係のない、意味
のない変な名前なので、深く詮索しないでほしい。

   現在のボスウサギの「ナス」は、東松山の子ども動物自然公園に勤務していた娘の友人を経由して、無料でもらって来

  た。実は、我が家に来なかった場合は、動物園のニシキヘビの餌になる予定だったという。そんなことはもちろん本人

  は知らないが、幸せなウサギである。


   
初代ウサギ「ピョンタン」           2代目「ネギ」   


   
3代目「ピーマン」             4代目「ナス」   


   
仲良し「ピーマン」と7「ナス」         5代目「ヒジキ」    


5.ウサギに水を与えてはダメ?

  昔は、ウサギに水はダメと習った人が多いと思う。しかし、人間や他の動物同様水分は欠かすことのできないものであ

  り、現在の常識では、ウサギのケージに取り付け
る給水器具が不可欠となっている。

  過去に運動選手は、根性を鍛えるために、練習中に水を飲んではいけないという考え方があったが、なんとなくそれに

  共通するような古い常識なのかもしれない。



6.ウサギは暑さに弱い

  ウサギは他の動物と同じく、人間のように発汗して体温調節する機能がないといわれている。唯一長い耳が体温調節す

  るらしいが、最近の日本の暑さには耐えられないようだ。我が家の居間は、ウサギのために夏は2526℃を維持でき

  るようにエアコンの温度を設定している。この温度は人間には寒すぎるため、長袖の服をはおったり、別の暑い部屋に

  行ったり来たりして対策している。我が家の夏場は省エネに反する行為をしているのが心苦しい。



7.ウサギは何を食べる?

  学校ウサギは、近所の八百屋の親父さんが、キャベツの外側の葉などのくず野菜を与えられていたようだが、ペットウ

  サギには、専用のラビットフードやおやつなどがある。我が家も、その種のラビットフードなどを給餌している。ホー

  ムセンターには、犬、猫用ほどではないが、かなり多くの種類のウサギ用飼料やおやつ類が売られている。但し、野菜

  類も結構好きなので、キャベツや大根の葉などを与えている。特にウサギは、ニンジンの葉が大好きで、食べる葉がな

  くなったら、ニンジン本体にとりかかるのだが、結構食べ残していることが多い。

   極めて特殊な例として、二代目のウサギ「ネギ」は、私が四日市土産で買ってくる赤福の餡が大好きだった。そのせい

  か、ネギは肥満気味で晩年は歩くのも苦労していた。その他のウサギ達は、基本的に人間の食べるものはほとんど食べ

  ない。



8.ウサギの肉料理

  中国では、ウサギの肉を使った料理が多くある。あまり高級店にはないが、私は、四川省と広東省でウサギ肉料理を食

  べたことがある。特に四川省成都市郊外では、ウサギ肉を骨付きのままにぶつ切りにしたものを、野菜などとともに辛

  く煮込んだ田舎料理が旨かったと記憶している。その店の庭には、食用のウサギの小屋があり、真っ黒な巨大なウサギ

  が鎮座していた。我が家のペットウサギの5倍以上もありそうで怖かった。肉はやや固めだが、脂身が少ない羊肉のよ

  うで、匂いや癖のない味であった。家族に、ウサギ料理を食べてきたという話をしたら、ひとでなしと言われてしまっ

  た。

  ウサギの肉は、日本に輸入されていることはご存知だろうか。最近は少なくなっているが、日本の比較的安いハムやソ

  ーセージ用に増量と結着のために使われている。成分表示には、ウサギ肉ではなく、「家兎」と表示されているので、

  注意してご覧いただきたい。


9.学校うさぎは減少傾向?

  以前は、どの小学校にもウサギ小屋があり、子ども達の教育を兼ねて、ウサギを飼育していたが、なぜだか分からない

  が、最近は少なくなっているようだ。前述の美原小学校には、ウサギ小屋は残っているが、かなり前からウサギの飼育

  はされていない。


   たいへん珍しいケースとして、私が墨田区の小学校の理科支援員として勤務している3校のうち、1校だけ今もウサギ

  を飼育している小学校がある。外手小学校という昨年に開校100周年を迎えた小学校には、3羽のウサギが飼育されて

  いる。真夏の猛暑に耐えて、じっとしている姿を見ていると、たいへんかわいそうに思う。それに比べて、我が家のウ

  サギのなんと幸せなことかと、いい聞かせたが、当然のことながら、全く反応がなかった。