友が、花見をしようと計画してくれたが今年は葉桜となった。
予定より早めに着きそうなので、天台宗太平寺から龍門の滝へ向かった。
天台宗太平寺は川口松太郎の小説『蛇姫様』の舞台である。昭和14年から新聞に連載、大好評を博した。
かつて、衣笠貞之助監督のもと、長谷川一夫、山田五十鈴、原 節子、黒川弥太郎らで映画化され空前のヒットを放っ
たそうだ。その後、渡辺邦男監督のもと、市川雷蔵、嵯峨美智子、中村玉緒らの出演でリメークされたそうだ。
川口松太郎はこの寺に再度訪れたとき、境内の清掃がなっていないとかで激怒したと言われている。
お寺のすぐ下に龍門の滝がある。
天台宗龍尾山太平寺 龍門の滝 |
会社勤めのころは、5月、8月の連休の時に来ることが常であるが、卒業してからは季節に関係なく訪れ花々を愛で
ることができる。滝飛沫は舞い上がっていた。いつ来ても田舎はやさしく迎えてくれる。
翌日、寝不足気味であるが良い気分であった。
今回の帰省のもう一つの目的は、松尾芭蕉と河合曽良の歩いた下野路を追体験することであった。
そんな話をしたら、二人の友が案内してくれることになった。
友の車に乗りながら黄緑になった小高い山々を眺める。小川は右に左に流れて行く。
最初の目的地「奇岩 御前岩」へ着いた。ここは、徳川光圀公が領内検分の折、御前岩をご覧になられると「これは
誠に天下の奇岩じゃ」と驚かれて「かかるものを衆目にさらすことは、よろしからず」と土地の役人に命じて、御前岩
の対岸に竹を植えさせた。この竹林を腰巻竹といって直接には見えないようにしたとある(案内板より)
奇岩 御前岩 腰巻竹 |
雲巖寺へ向かう。
田舎の狭い道である。曲がりくねりながら行く。花桃が赤く白くきれいに満開である。対向車と道を譲り合いながら
進む。広い道に出た。友が言う「町が変わると道が違うんだよな。大田原市は金があるから道も広くなるんだよ」
30分程で「雲巖寺」へ着いた。
山の中にある禅寺である(JR東日本のCM(吉永小百合主演)の寺です)。私にとっては50年ぶりだ。
次の目的地芭蕉の館へ約40分で着いた。
黒羽城址公園の中に在る。あいにく休館日であったが桜が舞い散り、花桃が満開であった。
城址公園をゆっくりぐるりと散策できた。
かさねとは八重撫子の名成るべし 曽良 芭蕉の館へ向かう門 |
今回の最後の目的地、遊行柳へ向かう。
友人は、「芭蕉はこの道を歩いたはずだ」と、バイパスではなく狭い旧道を走ってくれた。
うれしくなった。「大切なのは良書と友だ(?)」と感謝の言葉を述べたが変なたとえだなと皆で笑ってしまった。
遊行柳は田んぼの中に在る。まだ水は張られていなかった。
田一枚植て立去る柳かな 芭蕉 |
柳が芽吹いた季節である。
今回はここまでの下見の小さな旅であった。
改めて、「芭蕉の歩いた下野路」として旅行の計画をしようと思っている。
栃木市大神神社(室の八島)~今回下見の名所旧跡~那須町(殺生石)までが道程になろうか。
やはり、温泉に入りながらの一泊旅行でしょうかね。
|