2018-04-24 記 玉上佳彦
日本には三大中華街、横浜中華街、神戸の南京中華街、長崎の新地中華街があることはご存知だと思います。しかし、これらの中華街の料理は「日本」の中華料理であり、本物の中華料理ではないといわれています。
横浜中華街の門 関帝廟 |
最近増えている東京在住の中国人や、留学生、旅行者などにいわせると、横浜中華街は「日本人向けの中華料理店で、美味しくない」ということで、今の本当の中華街は池袋にあるといわれています。私が顧問をしている吉林省の食品会社の通訳の若者やその友人らも、池袋で本場の美味しい中華料理を楽しんでいるようで、私も個人的に、日本人の友人らと数年前から池袋で、本格中華料理を楽しんでいます。
池袋の中華街は、JR池袋駅北口(東武側)付近から散在していますが、横浜中華街のような門などの表示や案内パンフレットなどがありません。駅を出るとすぐに中国人のおばちゃん達が中国人向けの新聞などを配っているので、すぐわかります。目の前に中華食材の店や中華料理店が点在しているのですが、よく見ないと見過ごしてしまうかもしれません。
山下清海著 講談社選書メチェ「新・中華街」より転載 JR池袋駅北口の階段の広告
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もともと池袋北口は風俗店が林立していて、風紀上あまり良くない街でした。それらの風俗店が撤退した後に、中国人が経営する料理店に変貌していったようです。この周辺地域は、中国人が多く住む土地であり、留学生も非常に多いため、日本人向けではなく、中国人向けの本格的な中国料理店が増えていったようです。
池袋には、1980年以降に新華僑といわれる中国人が進出してきたことにより、中華料理店だけでなく、食材・雑貨店、旅行代理店、不動産仲介店、美容院、保育園、自動車学校、インターネットカフェなど様々な種類の店や施設が約300~400軒あるようで、この池袋中華街は中国人の日常生活を支える街となったのです。
当初は、この地を東京中華街として展開するという構想があったようですが、地元商店街の猛反対があり、断念したようですが、自然発生的に徐々に増えていったようです。あるビルの4階には「東京中華街」という名前の店がありますが、これは一軒の店の名前です。
駅前の中国食材販売店「友誼商店」と対面の「陽光城」
4階の店名は「東京中華街」 2階は新疆の料理店 吉林省の料理店
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横浜中華街に最近安価な食べ放題の店が増えてきたのですが、これらの店も新華僑によるものだという報道もあります。老華僑または旧華僑といわれる従来からの横浜中華街の老舗の店の経営者は、この現象に困惑しているようです。横浜中華街は、主に古くから日本に住んでいる台湾系の華僑によって成り立ってきたといわれています。
池袋中華街の特徴は、横浜中華街や日本各地の中華料理店の料理とは異なり、近隣に住む中国人向けに、各地の本場の料理を提供しているのです。私が中国に駐在していた頃や顧問として訪問している中国各地の本場の料理が楽しめるという点で私は大好きです。
例えば、非常に辛くてしびれる四川料理、大鍋で煮込んだ東北(遼寧省、吉林省、黒竜江省)料理、新疆の羊肉料理、火鍋など中国でしか味わえなかった料理を提供する店が多くあります。
中国語に自信のない方にはやや冒険かもしれませんが、日本語のメニューもあり、日本語も通じますので、中国に行ったつもりで、本場の中華料理に挑戦されることをお奨めします。
但し、店によって若干異なりますが、従業員はすべて中国人で、客の大半が中国人です。従って、見たこともない料理や慣れていない味付けには要注意です。日本生まれの中華料理である天津飯や焼餃子はないと思います。
火鍋専門店などの看板 四川の麻辣湯
羊肉串焼店 テイクアウトの焼き小龍包店 |
これらの店では、キャッシュレス化が進んでいる現在の中国で普及している以下の銀聯カード(私も持っているデビットカード)やアリペイ、ウィーチャットペイなどのスマホ決済も可能となっているので、中国にいるような気分になってきます。
銀聯カード アリババのスマホ決済 ウィーチャットのスマホ決済
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最近では、第二の中華街として、JR京浜東北線の西川口駅西口に、数多くの中華料理店が進出して「西川口中華街」ができているとのことです。次回は、西川口中華街の報告をします。ご期待下さい。
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