2019 -8-3 記 ケン・シェイクスビア
Ken Shakesbeer
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▼この4月にヨーロッパ14日間の旅をしました。(HP投稿343~351)
私は医者から「日本酒、ビール、ワインなど醸造酒は1週間に2日以内」と指示を受けています。パリの3日間、アントワープの6日間、ウイーンの4日間、「飲むべきか、飲まざるべきか、それが問題だ」と私はハムレットになった気分でした。パリのワイン、アントワープの芳醇なベルギービール、あるいはフェルメールにご対面した感動のあと、地元オランダ・ハイネケンのビールを目の前にして「今飲まなければ、いつ飲むのだ?」「今でしょ』と答えを出して・・・。医者の指示はいつのまにか脳の片隅に追いやられ・・・。(^^♪)
2019年4月 アントワープにてゴールワーズビール
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アントワープのスーパーには5%から15%までの瓶、缶のビールが私を待っていました。7年前HP投稿2「白夜のロシア」に書きましたが、サンクトペテルブルグの店でズラーっと数メートルの棚上に缶ビールが並んでいた壮大な情景には敵いませんが・・・。(*_*)
▼1960年の海外デビュー以来、世界を飛び回った名指揮者・岩城宏之さんは、
「ビールの世界一はまちがいなくチェコのピルゼンだ」と著書『ビール』に書いています。「ピルゼンの街はずれのビール工場の中の社員食堂で飲む生の味は一生忘れられない。体じゅうがのどになったような感じで、頭のテッペンから足のつま先までがキューッとシビレ・・・」。
開高健氏も同著で「チェコ語でプルスナー・ピーヴォと云えばチェコ人はニッコリする」と書いています。私もプラハ空港で飛行機の出発までビールを飲んでいた経験がありますので全く同感です。ドイツのハイデルベルクでオッサンが教えてくれたビアホールで飲んだドイツの生ビールも!そしてフランクフルト、ミュンヘン、ベルリンで飲んだビールも‼。
昔、「♪ミュンヘン、サッポロ、ミルウオーキー♪」というCMがありましたっけ。
2006年10月 ハイデルベルグにてドイツビール
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オスマントルコに包囲されたハプスブルグ家のウイーン。プライドの高いウイーン人はミュンヘンのビールを泥臭いといって小馬鹿にするとか。(^_-)
HP投稿323で書きましたが昨年、松江の地ビール館で飲んだ島根の地ビールは『地ビールで全国トップ賞』というだけあって・・・。松江牛のツマミ・ステーキもとても美味しかった!。岩城は云います。「ビールは出来立てのを、早く、できた所からごく近い所で飲むのが美味いのだ!!」と。(^_^)
▼岩城宏之さんは、その著『フィルハーモニーの世界』のなかで、カラヤンの指導を芸大3年、N響副指揮者のとき受けた時に「ドライブするな、キャリーしろ」といわれたと書いています。指揮者だけでなくエッセイストとしても他に『楽譜の風景』など好著を残しています。「指揮者になる前、ぼくはタイコたたきだった。芸大も中退ではあるが打楽器科で学んだ。」(『楽譜の風景』18ページ岩波新書 1983年刊)。
楽譜の風景 |
彼がはじめてプロのオーケストラを指揮したのは東京フィルハーモニーだったそうです。
ウイーンフィルの首席奏者たちは岩城と飲みながら、「その時の天候、ホールの大きさ、聴衆の入り具合や年齢層の種類、構成でテンポを変えよ」と岩城に進言したとか。
シューベルトの「未完成交響曲」第1楽章の終わりの5小節について、アクセント>をディミヌエンドのように長く書く癖がシューベルトにあるので、第1楽章の壮大な終止がディミヌエンドになるのは不自然と考え、岩城はアクセントに変えてN響で演奏してみたことがあるとか。私はCDでカラヤンのベルリンフィルで聴いてみたら楽譜通りのディミヌエンドでありました。岩城は「スコアを睨んでいるとどっちでもよいという気になった。いずれも音楽として美しく・・・。天才の気軽な不始末には、後世のわれわれがいつも泣かされる。」と書いています。
▼「最高の仲間とうまいビールはたのしい時間に魔法をかける」とか。
ゲーテは「もっと光を」と遺言しましたが「もっとビールを」というごく素直な気持ちを十二分に私は理解できます。 (^_^)
しかし、ヨーロッパから帰国後の3か月検診で私の検査の数値はまったくウソをつきませんでした。医者に状況を話すと笑顔で「原因がわかればいいのです」と。でもその顔は「次回はがんばるんですよ」と云っていました。 (-;-)
ちなみに人口はウイーン190万人(415㎢)アントワープ50万人 プラハ120万人 所沢市34万人(72㎢)です。 (完)
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