2019-08-11 記 玉上佳彦
ビキニというと、女性の水着を想像される方が多いと思いますが、中国では、「夏の風物詩」ともいわれる男性の腹出しスタイル『北京ビキニ』というものがあります。特に北京だけに見られるものではなく、中国の夏にはどこでも見られる男性の暑さしのぎのかっこうをいいます。
私が初めて天津に駐在し始めた最初の年(2003年)の夏に、お腹の出たおじさんたちがT-シャツをまくりあげて、大きな腹を出しているいわゆる『北京ビキニ』をあちこちで見かけ、びっくりしたことがあります。見慣れてくると、特に違和感もなく、慣れてきましたが、最近になって、これが中国国内で『北京ビキニ』禁止という話題で盛り上がってきています。以下の北京ビキニの画像はネットからコピーしたものです。写真を見ると、気分が悪くなる場合もあるかもしれませんので、女性はご注意下さい。尚、写真はネットからとったもので、私の撮影した写真ではありません。
今年の7月に、山東省済南市が、非文明的で、風紀上見苦しいとのことで『北京ビキニ』を禁止したのがきっかけで、現在は天津、上海、瀋陽などの主要都市が同様の禁止令を出しつつあります。私の住んでいた天津市でも、「文明行為促進条例」を制定し、公共の場で『北京ビキニ』の人を取り締まり、800円から3,000円の罰金をとるようになったようです。
尚、山東省済南市は、私が駐在していた2008年頃まで、中国で最も暑い三大都市(三大かまど/竈)の一つといわれていました。他の二つは重慶市と武漢市です。しかし最近では、三大竈、四大竈などの他の都市に世代交代しているようですが。
中国の夏は暑いのですが、日本の真夏のような湿度の高い蒸し暑さではなく、比較的乾いた暑さのため、腹を出して、あるいは裸になって、汗の蒸発を促し、涼をとるというのは、ある意味合理的な手段なのでしょう。
しかし、私は恥ずかしくてできませんでした。たっぷりとお腹が出ているおじさんの場合、T-シャツを巻き上げると出っ張ったお腹の上端で固定されるようです。私のお腹はまだこのレベルには達していないと自己満足?していますが、気をつけなければいけませんね。
『北京ビキニ』は、お腹のたっぷり出ている中高年のおじさんがほとんどで、若い人には見られません。お腹の出たおじさんは、人に見られても恥ずかしくない大胆さが身についているようです。
さすがに、『北京ビキニ』のおばさんは見たことがありません。しかし、今回の規制に反対して、若い女性のへそ出しルックに文句を言う輩もいるようです。なぜ、おじさんの『北京ビキニ』が悪くて、女性のへそ出しルックはいいのか、不公平だといっているのですが、論外だと思います。比較すること自体がおかしいかと思います。女性のへそ出しルックは、ほとんどがスタイルに自身のある若い女性であり、決して醜いものではないので、私は個人的には歓迎したいと思います。
最近の習近平が指導する中国政府は、日本を参考にして、これまで汚染がひどかった公衆トイレを清潔にするように指示を出し、実際にかなりきれいになりました。日本に来る中国人観光客が日本で経験している生活で、すばらしさを感じているのは「トイレが非常にきれい」との好印象を持っているようです。
信じられないでしょうが、これまで、中国では、ゴミ出しの際には、分別の必要はなく、全てをごちゃまぜで出してよかったのですが、最近になって、北京や上海などの大都市で、かなり厳しいゴミの分別をしなければならなくなったようです。私が天津に住んでいた時に、お手伝いさんや部下に、なぜゴミを分別して出さないのかと聞いたことがあります。なんと、その答えは、「分別する人の仕事がなくなる」からでした。人口の多い中国人の仕事をなくすわけにはいかないということなのでした。さすがに、最近では人件費が高騰(10年前と比べて3倍以上)しており、今までのような「安価な人件費」というわけにはいかなくなってきたので、政府も方針転換せざるを得なくなったのでしょう。
国際社会で優位に立つために、中国政府は秩序のある文明社会を目指さざるを得なくなっているのだと思います。日本の秩序を見習って、立派な先進国「中国」になってほしいと、私は願っています。
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