ところざわ倶楽部          投稿作品     エッセイ&オピニオン


東日本大震災リポート  通巻№39

福島県からの避難者が、都内に・・・②

                           2019 11-07     記 松岡 幸雄
                                                      
                           

 ここ江東区東雲にある40階ほどの超高層マンションには、大震災と東京電力第一原子力発電所の暴発によって、その近くに住んでいた自主避難者と強制避難者の多くの方々が、今も生活をしています。

江東区社協が運営し、お世話をしています

 これまでは、避難者の自主的な団体「東雲の会」が作られ、ここでの人間関係を円滑にするため、1階の集会所で「しののめサロン」と銘打って、交流会を開いてきました。今年3月に「東雲の会」は解散になり、4月からは江東区の社会福祉協議会が運営しています。テーブルの傍には、福島県内のいくつかの新聞が置いてあり、誰もが自由に読めて県内の動向がわかるようになっています。

 特に「しののめサロンだより」(写真)の発行は大きな役割があります。サロンではマジック・体操・指圧・戸別訪問・キッズ等を案内しています。また臨床心理士との相談では「避難先に定住したい」「転居先は不安だ」「仕事がなく生活が苦しい」「仲間づくりがしたい」等の悩みや不安への対応をされています。


    心の健康・「笑顔を」忘れないで・・・

「顔見知り」の方が多いので、マジックを演じる時は、とても気楽に大きな笑い声や「エー?」とか「ヤジ」が飛び交います。漫談を交えた演技中に「あ、ヤミしてる」「え? 今なんて言ったの?」他の方が「ゴマ化すことだよ」と声が飛び出すと大爆笑が起こり、皆さんとの言葉の「掛け合い」で大いに盛り上がりました。マジックで心が和んだためか、テーブルを囲んでの笑いが絶えない楽しい会話は、私にとって最高にうれしいひと時です。この8年間、ボランティアを続けてきた「原動力」は、こうした避難者との「心のふれあい」です。そっと出していただいたコーヒーは、とてもおいしかったです。

・何度も私と話をしている浪江の方は、「今は孫と一緒に住んでいて、その世話などで生き甲斐を感じているの」。

・その方の隣に座っていた元気な奥さんは「ここで知り合った大の仲良しの人と、この先、別れるのが辛いのよ」。

・私に「私は、今、一人なので寂しいの。話し相手に家に来てほしいわ」との声で大笑いになりました。(そう言われて、うれしかったです)

・「ここを出たら、浪江町出身だけども、いわき市に家を建てて息子夫婦・孫と住むの。けれども、ここで出来た友達がいなくなるのが、また寂しいわ」等。

皆さんは、「ここを出た後の人生を、どう生きたらいいのか?」原発事故で翻弄させられてきた人生を、とにかく懸命に生きようとしています。その「心の内」を、痛いほど感じさせられた訪問でした。

帰り際に、江東区の社会福祉協議会の職員から「ここに居た方が、さっき『心の底から笑ったわ』と言ってましたよ」と、私に伝えてくれました。「あ、やはり、ここにまた来てよかった」と強く感じながら帰路につきました。

  ◆

「追伸」1011日、ようやく最高裁の最終判決が出ました。宮城県石巻市立大川小学校の津波被災をめぐる訴訟は、「遺族の勝訴」で確定しました。私は元教師として最初から強い関心をもって見守ってきましたので、とても喜ぶべき内容だと同時に、今後の「組織を挙げた事前防災」が厳しく求められます。2014年、このリポート第7号で「這ってでも山に登れ‼」と臨機応変な対応をすべきだったとの思いで、崩れた校舎前の祭壇に合掌したのを思い出しました。

               ◆

◎復興支援ソング 「花は咲く」  (№38からのつづき)

夜空の向こうの 朝の気配に  わたしは なつかしい
      あの日々を 思い出す 
      傷ついて 傷つけて  報われず 泣いたりして 
      今はただ 愛おしい  あの人を 思い出す 
      誰かの想いが見える  誰かと結ばれてる 
      誰かの未来が見える  悲しみの向こう側に
      花は 花は 花は咲く  いつか生まれる君に    
      花は 花は 花は咲く  わたしは何を残しただろう  
      花は 花は 花は咲く  いつか生まれる君に        
      花は 花は 花は咲く  わたしは何を残しただろう      
      花は 花は 花は咲く  いつか生まれる君に       
      花は 花は 花は咲く  いつか恋する君のために