ところざわ倶楽部 投稿作品 エッセイ&オピニオン |
「天津旅行を企画して」 |
2019-12-16 記 玉上佳彦 天津旅行の企画 私は3年前から、日中友好協会所沢支部の理事をしています。2019年5月の所沢支部の理事会で、私が4年間駐在していた中国天津市を訪問して、地元の中国の皆さんが生活しているところをめぐるツアーの企画を提案しました。日中平和観光の担当者と相談し、私の提案に基づいて、早速原案を作成してもらいました。 これを前提に、さいたま支部、さいたま西部支部に提案しました。私がリーダーとして立案しましたので、ところざわ倶楽部のHPにも掲載したところ、18期修了の松本紀彦氏が参加を希望し、11月半ばに10名のツアーを実現することができました。松本氏は、5歳まで天津に住んでいましたので、自身の生まれ故郷を見に行きたいということでたいへん楽しみにされていました。 私は、2003年に、天津市の北辰経済開発区に日本の子会社を設立して、代表として4年間駐在しました。新会社設立に当って、地元政府や開発区との交渉などに苦労しましたが、その関係で地元政府の役人や中国人の社員との深い関係ができてきたと思います。 一般的に、中国に駐在している日本企業の社員は、約3年程度で帰任するため、あまり中国に親しむ人が少ないようです。土日は日本人会のメンバーとゴルフや日本料理店での会合に参加し、中国人のスタッフとの交流は極めて少ないように思います。私は、このような日本人グループに参加することは避けて、できる限り中国を深く知るために、中国人スタッフ、政府役人、取引先の中国人らとの付き合いを大事にしてきました。 そのおかげで、今回の天津旅行の最終日の晩の食事会では、ツアーメンバー10名に加えて、私のかつての部下8名とお茶の先生と開発区のトップの役人が参加して、20名のたいへん大きな楽しい宴会となりました。 私は、現在も中国吉林省の食品会社の顧問をしており、ほぼ毎年数回中国に出張しています。その出張の帰りには必ず天津に寄り、かつての部下と旧交を温めています。毎回私の天津訪問にあわせて、皆が集まってくれるのは、うれしい限りです。私の第2の故郷に部下(=私の中国の弟、妹、娘、息子)が待っていてくれると思うと、苦労しましたが、天津で仕事をしてきて本当に良かったと思っています。
今回のツアーは、天津市内だけでしたが、現在の中国がどのような発展をしているかを、天津を見本として、一般の人達がどのような生活をしているのかを皆さんに見て、実感していただきたいと思って企画しました。 最近の中国政府は、北京・天津・河北省地域の大規模開発を目指して、中国有数の大経済圏計画が進んでいて、現在、新首都「雄安新区」や世界最大の「大興空港」などを建設しています。この大経済圏の要の港としての天津港は、非常に重大な位置を占めています。今回は、まずこの港を中心にした未来都市「濱海新区」で美しい図書館や未来レストラン、無人スーパー、イオンモール、偽物市場(洋貨市場)などに行って楽しみました。
天津駅、金融街、旧租界跡などが残っている旧市街は、北京や上海とは異なる古い町並みが残っており、旧き良き時代の中国を味わうことができます。ヨーロッパ諸国の租界であった「五大道」は今でも保存建築物として保護されていますが、残念ながら日本租界の跡はあまり保存形態が良くないのが残念です。ラストエンペラー愛新覚羅溥儀が暮らしていた旧家「清園」などの古跡の見学をしながら、天津の下町的な町並みを散策することができました。日本でもよく知られている政治家周恩来の夫人鄧穎超氏が天津の出身であることから天津市内に「周恩来鄧穎超記念館」があり、多くの中国人の若者が参観していました。 私としては、天津の庶民の台所である市場や屋台なども案内したかったのですが、時間的に難しく、できれば、もう1日ほしかったかなと思っています。 私の元部下が気を利かせてくれて、彼の友人の美人のお茶の先生の教室で、中国茶の白茶と紅茶の飲み方や効能効果の指導をしてもらう機会がありました。正式な中国茶の淹れ方、飲み方を知らない私にとっては、たいへん参考になりました。 今回のツアーでは、以前に私が利用したことのある各種料理を楽しんでいただきたかったので、行きたいレストランや主なメニューを私が指定して、現地にて手配してもらいました。天津には、天津料理という代表的なものはないのですが、比較的有名な包子の店「狗不理包子」をはじめとして、雲南のきのこ鍋料理、北京ダックで有名な「全聚徳」、百餃園の餃子など中国各地の料理を味わっていただけたのではないかと思っています。 今回は、添乗員なしのツアーだったのですが、現地で天津在住のガイドに恵まれて、私の要望に適時対応してくれたので助かりました。但し、羽田空港出国から北京空港での中国入国までとその逆の出入国手続きの際は、私が添乗員のような立場で対応しました。出入国の手続きは、以前と大きく変わっていて、日本の入出国は自動化が進み、中国入国時には指紋認証などが導入され、出国時の厳しいセキュリティチェックなどで、戸惑うことがありました。 最近の私の中国訪問は、ほとんど単独ですので、自分の都合で行動していましたが、初めてのツアーの先導役は結構たいへんなものだなと実感しました。旅行会社の添乗員の苦労が理解できました。 今回参加された方々から、たいへん楽しかったとのお礼と労いの言葉をいただきました。私としては、第二の故郷ともいうべき天津を見ていただけたことがうれしく、良かったと思っています。 |