5月下旬に開幕された中国の全人代(全国人民代表大会)で、「民法典」が可決成立した。
同法では、新たに『離婚冷静期』(離婚クーリングオフ)という新制度が新規に加えられた。同制度では、離婚を希望する夫婦に30日間のクーリングオフ(冷却)期間の完了を義務付けているもので、離婚を届け出てから30日以内に夫婦の一方が最終的に同意しない場合、届け出を撤回することができるという。この制度は、2021年1月から施行される。
中国では、近年離婚の増加が社会問題となっており、2018年の結婚の届出がおよそ1,000千万件だったのに対し、離婚件数は440万件以上。人口1,000人当たりの離婚率は、3.2%と2005年から右肩上がりとなっている。
今回の離婚クーリングオフ制度は、コロナウイルスの感染拡大により、自宅に巣ごもりすることにより、夫婦間のDVなどのトラブルが増え、離婚が急増したことによる対策と考えられている。少子高齢化が進む中で、今回の新制度には、衝動的な離婚に歯止めをかけたい狙いがあるといわれている。
日本でも、最近は、家庭内トラブルにより、いわゆるコロナ離婚が増えているようだ。
2014年の中国の出生数は女性100に対し、男性115という割合といわれており、『2020年以降、3,000万人から4,000万人の男性が結婚相手を見つけられなくなる』という。
2019年の『結婚申請』、日本でいう婚姻届を提出したのは約950万組だが、同じ年に415万組が離婚を届けを出したという。
身近なところでは、私の勤務していた天津の会社の社員の中でも、かなりの離婚経験者、再婚者がいたのを思い出す。つい最近では、私が顧問をしている中国の会社の部下兼通訳の男が、最近吉林省の女性と離婚したという。その後、別の上海の女性との再婚を考えているという衝撃的?な事実を知らされた。私は、吉林省の彼の奥さんとは何度も会っているので、なんとも複雑な気持ちになっている。
中国では、男女別姓のため、結婚しているかどうかは判りにくい。中国では、結婚すると写真の『結婚証』が発行され、離婚すると『離婚証』が発行される。
中国人の友人から、『上海や北京の夫婦は7割が家庭崩壊、離婚予備軍』という信じられないような話を聞いたことがある。特に都会の家庭は離婚が多いようだ。日本と違って、中国では、仕事上の男女差別が少なく、日本人と比べて、女性が性格的にも非常に強いために、離婚が多いのではないかと思われる。
中国社会の、特に男性が結婚できないという恐怖心を与えているようで、男性の結婚の条件として、高収入で、マンション、自家用車を持っていないと結婚できないという厳しい現実があるという。
国家による私権への介入だとして反発も起きているが、果たして、離婚クーリングオフ制度によって離婚が減少するだろうか疑問である。
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