中国応急管理部によると、7月28日の時点で、出水期(6月1日)に入ってから現在までに、中国南西部の江西省、安徽省、湖北省、湖南省、広西チワン族自治区、貴州省、広東省、重慶市、四川省など27省・区・市で発生した水害の被害者の数は、述べ5481万1000人で、死者・行方不明者は158人、緊急避難した人の数は376万人、倒壊した家屋は36万8000棟、被災した農作物の面積は528万3300ヘクタール、直接的な経済損失は1444億3000万元に達している。
〔人民網日本語版2020年7月29日〕
(読売新聞7月31日) |
中国の友人からの情報によると、同地域の大雨は約2ヶ月にわたり降り続き、長江中・下流、淮河上・中流の大部分の区間で危険水位を超え、大洪水が発生しているという。長江には世界最大の三峡ダムがあるが、水位が上昇したため、放流を繰り返し、下流域の安徽省などで広範囲な洪水が発生させているという。
安徽省の洪水(中新網より) 三峡ダム(新華網より)) |
先週の段階で、このまま大雨が続き、水位が更に上昇すれば、世界最大の三峡ダムが決壊するのではないかとの噂も流れている。もし、三峡ダムが決壊すれば、下流の武漢、上海、南京などの大都市が水没し、大規模な経済破綻を起こすのではないかといわれている。上記の大都市、特に長江デルタ地域には数多くの日本企業が進出しているため、日本にとっても大きな経済損失が心配される。
日本でも梅雨前線が長期間にわたって停滞して、九州を始めとして全国に大きな被害をもたらしたが、中国の長江流域も同様の大雨の影響で、大洪水が発生しているのである。日本では、梅雨明けが発表されたが、中国では、前線が北上し、黃淮、華北、東北などの地域では、強い雨が降るところがあると予想されている。それに伴い海河、黄河、松遼流域などでは、深刻な水害が発生する可能性があるという。
東京大学大気海洋研究所システム研究系の木本昌秀教授によると、今年の梅雨は、インド洋での海水温が高いために、大量の水蒸気が偏西風に影響されて、中国や日本に大雨をもたらしているという。いわゆる異常気象を通り越して、同教授は「極端気象」といい、地球温暖化をくい止める方策を、世界中で人々が考えて行動に移していかなければならないと訴えている。
CO2の削減は我々日本人にとっても、喫緊の課題であり、身近なところから心がけていきたい。
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