日本のマスコミでは、あまり報道されていないのですが、IOCバッハ会長は、7月13日の橋本会長との面会で、「最も大事なのはチャイニーズピープル」と口走ってしまった。すぐに「ジャパニーズピープル」と言い直したが、会場は気まずい空気が漂ったようです。
参考までにワシントン・ポスト電子版の記事を以下に紹介します。
【ワシントン共同】米紙ワシントン・ポスト電子版は13日、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が訪日後に初めて公の場で発言した際に「日本の人々」と言うべき場面で「中国の人々」と言い間違えたことを伝え「日本で既に危ういイメージに拍車を掛けた」と報じた。発言は東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長と13日に会談した際、安全な大会の開催の重要性を説いた際に出た。同紙はバッハ氏がすぐに自分のミスに気付いて「日本の人々」と言い直したことから日本語に通訳されなかったものの「失言は日本メディアが取り上げ、ソーシャルメディアで反発を招いた」と紹介した。
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この報道を聞いて、憤りを覚えた人は私だけではないでしょう。日本に滞在中の彼のこの発言は失礼極まりない失言であり、決して許すことはできないでしょう。私は、この背景を、以下に私の個人的経験にてらして、考察してみました。
1.日本よりも中国が重要
バッハ会長にとっては、大した感染状況でもない(某内閣参謀参与の「さざ波」レベル?)の にゴチャゴチャ注文をつける日本が鬱陶しいのでしょう。
バッハ会長にとって、中国は金にまかせて、何でも聞いてくれる忠実な存在なのであり、バッ ハ会長だけでなく、欧米人にとっては、日本は中国の一部と思っている人が多いのではないかと 思われます。
諸外国から見たら、現在の日本は、アメリカの属国であり、ついつい、本音が出て無意識に
「Chinese people」と言ってしまったのでしょう。彼の頭の中には、現在の大国「中国」が最 も大事な国であり、2022年の冬季オリンピックを無事に開催することが唯一の使 命なのでし ょう。
2.日本の存在感が低下
彼の頭の中から、無視されてしまうほどに、日本の存在感が薄れてしまったことは、極めて残 念なことですが、その原因は日本にもあるのではないかと思います。今や、かつての経済大国「 ニッポン」の存在感は薄れてしまったのでしょう。国際的に日本の存在感が薄れた原因としては
以下のような諸項目が挙げられると思います。
-大国「中国」の国際社会での台頭 日本に替わる世界第2の大国の出現
-国際政治での日本の存在感の低下 米中覇権争いの中での日本の曖昧な姿勢
-アメリカ依存体質の常態化 他国から見たら日本はアメリカの属国
-政治家(トップリーダー)の存在感なし G7サミット写真撮影で後方に立つ菅首相
-OECD諸国の各種指標(教育、女性活躍など)の低下
-発信力のない日本
地球温暖化対策、カーボンニュートラル、原発政策など
3.私が経験した外国人の日本観
以下は私が、過去の海外訪問時に感じた経験をまとめてみたいと思います。私的なことで申し 訳ありませんが、私は、これまでに、4年間の中国駐在とは別に、個人的な旅行での中南米放浪 (?)や、商社勤務時代に出張したアジア、ヨーロッパ、北米などを含めて、現時点で39カ国 を訪問してきました。私の個人のHP(以下)を参照下さい。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~ytama/tama1.html
①私は、無謀にも1974年(当時28歳)に、日本での仕事を放り投げて、ヒッピー然としたバッ クパッカーとして、中南米への放浪の旅に出ました。当時でも、中南米の人達は、日本のことを 比較的によく知っていたようで、私はたいへん好意的に受け入れてもらえました。その理由は、 南米には、明治時代からの日本人の移民が多く、苦労して社会に溶け込んでいったせいだと思い ます。
明治32年(1899年)にペルーへの移民が開始され、明治41年(1908年)にはブラジルへの 本格的移民が始まったのです。
私が中南米を放浪していた際、長距離バスなどで親しくなった現地の人との会話では、よく質問
されたことがありました。日本は遠い国ということは理解しているようで、飛行機で約20~
30時間かかるというと、では、「バスだとどのくらいかかるか?バス代はいくらか?」とよく 聞かれることがありました。
陸続きで国境を接している国にとっては、飛行機が高いからバスで行くということが当たり前な のでしょう。その時、私は、持参していたポケットサイズの世界地図帳を開いて見せて「日本と 南米大陸の間には太平洋という大きな海があり、バスでは行くことはできないよ」とスペイン語 で答えていました。今思うと、なんと微笑ましい会話だったように思います。
中南米放浪時代の私 若いですね!
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②当時の中南米には、中国人(華僑)や韓国人の移民もいたのですが、当時の彼らの評価は「日本人は、非常に真面目で、信用できるがおとなしい」、「中国人は、商売上手で、非常にたくましい」、「韓国人は、ずる賢くて信用できない」でした。
③中南米から帰国後、私は、医薬品関係の専門商社に就職し、医薬品原料や化学品の輸入の 仕事でアメリカ、ヨーロッパ、アジア諸国への出張の機会が多くありました。主に、輸入 の仕事が中心でしたが、北欧やドイツ、オランダ、ベルギー、スイスなど、私が訪問した 欧州の国の人々は、日本の存在価値を高く評価していたように思います。バッハ会長のよ うな日本を蔑むようなことはなかったと思います。但し、南欧のラテン系諸国には滞在す る機会も少なかったので、よくわかりませんが、上述のヨーロッパ諸国とは、かなり国民 性に違いがあるような気がしています。
④1981年に商社から食品加工業界に転職後は、アメリカやヨーロッパなどの鶏卵加工業者 への出張を経験し、特にアメリカ中西部(アイオワ、ミネソタ、ネブラスカ、ミズーリ、 カンザスなど)の穀倉地帯の会社との輸入取引を進めてきました。その時に感じたことは 当地のアメリカ人にとって、日本や韓国は中国の一部分と考えている人が多かったように 思います。なぜならば、一般のアメリカ人にとっては、国際情勢には全く興味はなく、地 元のローカルの新聞やTVにしか接する機会がない彼らにとっては、当たり前のことのよ うでした。現在のトランプの熱烈な支持者の世界なのでしょう。
しかし、鶏卵関係の取引先のトップは、日本を重要な輸出先と捉えており、中国との違い は理解できていました。但し、当時(30年以上前)の中国は、現在のような大国ではな かったため、アメリカ人にとっては、あまり関心を持つ国ではなかったのだと思います。
最近のアメリカにおけるアジア人のヘイトクライムの根底には、彼らが認めたくない現在の大国「中国」に代表されるアジア系の人民を排除したくなる気持ちがあるのかもしれません。
長々とした拙文で失礼しました。
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