▼コロナ禍の中、サークル『葵の会』では『万葉集』を昨年から読んでいます。
東の野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月傾きぬ 柿本人麻呂
これから本歌取りしたのが
菜の花や月は東に日は西に 蕪村の俳句です。
画家でもあった蕪村の雄大な構図が伺えます。
柿本人麻呂は万葉集を代表する歌人で、万葉のおおらかさ、雄渾さを歌っています。
近江の海夕波千鳥汝が鳴けば心もしのに古思ほゆ
もののふのやそ宇治川の網代木にいさよふ浪の行方知らずも
柿本人麻呂像 東京国立博物館 |
▼古池や蛙飛び込む水の音
芭蕉の有名な俳句で1686年の芭蕉庵における作品です。いろいろな人が英訳していますが、
日本を愛し96歳で亡くなったドナルド・キーン(日本文学者)は
The ancient pond / A frog leaps
in / The sound of the water と英訳しています。
ancient は belonging to times that are long pastで、very oldの意味合いです。leap は jumpより大きく飛ぶイメージのようです。訳者によっては frogs や jumpedとしていますが、単数、現在形でしょうか。
▼『古池や』については次のような俳句があります。
新池や蛙飛びこむ音も無し 良寛
古池や芭蕉飛びこむ水の音 仙厓
仙厓義梵(1750~1837)は、江戸時代の聖福寺の住職で、有名な『□△○』の墨絵や墨蹟があり、辞世の言葉は『死にとうない』で奔放な人生をおくりました。
「□△○」出光美術館蔵 |
福岡・地下鉄の祇園駅から歩いて数分で聖福寺へ。城山三郎の『落日燃ゆ』の主人公・広田弘毅の菩提寺です。
安国山聖福寺は日本最古の臨済宗の禅寺で、日本にお茶をもたらした栄西によって、開山されました。
聖福寺参道 聖福寺山門 |
今年の7月 蝉時雨の聖福寺でよき時間をすごしました。境内のベンチで冷たいお茶を飲みながら・・・。
安倍内閣、菅内閣は『言葉』をずっと破壊して来たことなど思いながら・・・。
(完)
|